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2019年10月15日

治療技術を習得するためにしてきたこと 8    中国医書解読の基礎作り

 清野鍼灸整骨院院長清野充典が朝日新聞朝刊に掲載されました
 朝日新聞デジタル『マイベストプロ東京』に清野充典が掲載されました 
 清野充典が【THE ROOTS】の取材を受けました
 朝日新聞系専門家コラムサイトJIJICOに 清野充典のコラムが 鍼灸師として初めて医療部門に掲載されました

  自分の技術を言葉で伝えるため、開業して約15年、40歳を過ぎた頃、大学・大学院へ通学することを決め3年で「学士(鍼灸学)」を取得しました。漢文の読解力を身に付けるため、2年間の受験勉強を経て、45歳になり、大東文化大学大学院文学研究科に入学しました。中国医書の読解力を身に付けるため、順天堂大学医学部に研究生として入学した時は、52歳になっていました。

 順天堂大学医学部医史学研究室は、80ある医学部中唯一の研究室です。医学総会の第1分科会である日本医史学会の事務局でもあります。

 日本医史学会は30歳代より学会員でしたが、学会発表の内容は、多岐にわたっており、長い歴史を網羅した詳細な医学の歴史に、全く付いて行けませんでした。それでも、学会に加入して10年を超えた頃より、少しづつ発表内容を部分的に理解出来るようになり、他の演題との繋がりが解るようになって来てました。鍼灸医術を知るためには歴史を学ぶ必要があると、40歳後半には思い始めていました。丁度、大学院に入学した頃です。

 大東文化大学大学院修士課程を修了し、「修士(中国学)」を取得した頃には、ようやく漢文を読むことが出来はじめていましたが、中国医書を読むためには、いわゆる医学用語を理解する必要があります。一般の漢文を読む知識の上にさらなる専門知識を必要とすることが解っていましたので、順天堂大学医学部医史学研究室に進んだのは、必要不可欠な選択でした。大東文化大学大学院を修了した年のことです。

 研究室主催の研究会や日本医史学会の例会に参加して、中国最古の医書や基本の書を読解する日が続きました。順天堂大学は、日曜日でも図書館の利用が可能です。研究室にしかない本や資料を紐解き、様々な方向から、鍼灸医術の研究を続けました。漢文読解の力が、ようやく実を結び始めました。

 日本には、現存する最古の医書である『医心方』という書物があります。何年も『医心方』を読んでいるうちに、中国医書解読の基礎が身に付いて来たようでした。

 自分の技術を言葉で伝えるための基礎作りが、ようやく終わりを告げて来ました。気が付いたら、55歳を過ぎていました。
 
 令和元年9月6日投稿記事「清野充典の「東洋医学ひとりごと
治療技術を習得するためにしてきたこと 1 所感
治療技術を習得するためにしてきたこと 2 身体の基盤作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 3 技術の基礎固め
治療技術を習得するためにしてきたこと 4 学力の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 5 心身の修養
治療技術を習得するためにしてきたこと 6 漢文読解の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 7 古典医書読解の基礎作り
鍼灸治療を伝えることの難しさ ー灸(きゅう)治療の専門性ー

2019年10月15日(火) 
 清野鍼灸整骨院
  院長 清野充典


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Posted by 清野充典  at 00:03 │Comments(2)治療技術を習得するためにしてきたこと

この記事へのコメント
素晴らしいです。

日本人が漢文を読めなくなったのは戦後ですね。
私の中学時代の国語の先生は(1920年代生まれ)漢文のほうが読みやすいとおっしゃっていました。
私の尊敬する司馬遼太郎さん(福田氏)も、漢文、和文、武将、江戸末期の手紙類を色々読んでいらっしゃいました。100年前までは書いたものが政治だった日本。大中華圏の端っこの日本。時代ごとの最先端の情報にアクセスできること、うらやましく思い、そこまでなさった事に対する尊敬を伝えたく思いコメントしています。
Posted by 林 文子 at 2019年11月01日 01:32
林文子様
 「治療技術を習得するためにしてきたこと8 中国医書解読の基礎作り」に対するコメントを、ありがとうございます。数え切れないほどあるコラムの中からお読み戴きましたことに対して、深く感謝申し上げます。文学研究科修士課程では中国哲学を専門に学びました。哲学・思想の研究は、いわば文字学です。一字一字時間をかけて調べます。パソコンが発達し、膨大な資料を瞬時に閲覧できるようになりましたが、最終的には原典を確認する必要があります。辞書を引かない、字を書かない現代社会の人にとって、今後苦手な作業になっていくかもしれませんが、それをも凌駕する社会が訪れるかもしれませんね。
Posted by 清野充典清野充典 at 2019年11月01日 11:48
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