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2019年10月25日

治療院技術を習得するためにしてきたこと13     東洋医学と西洋医学の壁

 清野鍼灸整骨院院長清野充典が朝日新聞朝刊に掲載されました
 朝日新聞デジタル『マイベストプロ東京』に清野充典が掲載されました 
 清野充典が【THE ROOTS】の取材を受けました
 朝日新聞系専門家コラムサイトJIJICOに 清野充典のコラムが 鍼灸師として初めて医療部門に掲載されました

  鍼灸師免許を取得してから38年目、清野鍼灸整骨院を開設して33年目になります。高校を卒業してから医学の道に進み、医療を生業としてきました。自分の技術を言葉で伝えるため、鍼灸学部を卒業後の22歳より常に医学・医療の勉強を続け、40歳より研究を始め、59歳になりました。あと数カ月で還暦を迎えるにあたり、今までを振り返っています。突然この世に別れを告げる時が来るかもしれないので、後進へのメッセージ代わりと思い書いています。

 20歳代の頃は1日230人を超える患者様に接してきました。30歳代の頃は一日100人前後鍼灸治療を行ってきました。多い日は1日20人以上の新患を拝見しました。多くの患者様に多くのことを教わってきました。決して、満足な効果を提供できていたとは言えなかったと思います。40歳より来院してくださる患者様のために研究を始めました。一人でも多くの患者様に、満足いただける治療を提供したい一心でした。

 長く苦しい日々でしたが、東洋医術の研究を続けてきたことにより、治療技術が格段に進歩しました。45歳を過ぎた頃より、ある病態の時1本の針で即時に痛みを消失できるようになりました。徐々に治療を再現出来るようになり、幾つもの病態で再現が可能になりました。鍼灸治療と徒手治療の双方で、患者様から「神の手」だという称賛の言葉もいただけるようになりました。少ない治療回数で症状の消失・病気治癒が可能となった頃から、来院延べ人数が減りました。一カ月の実人数は増加していても延べ人数は減少するという嬉しい皮肉な現象が続いています。

 治療成績が上昇すると、より一層難しい病態・疾患や難治性の外傷・複数個所の骨折者が増加します。毎日、難病患者さんとの戦いです。西洋医学の知識や最新の医療技術を学ぶ日々です。そこで問題となることは、西洋医療との融合です。

 東洋医学は、「身体は常に正常なバランスを維持しようとする」という整体観に基づき、治療を行っています。身体のバランスを取るために内臓の働きが正常化することを目的として、鍼灸治療や瘀血治療を行います。骨折や脱臼も、筋肉の働きを利用して骨や関節を一定の位置に保つことを考え、外傷部位を固定して骨や関節の修復を手助けします。
 西洋医学は、「障害を持つ部分を取り除く」ことや「症状を薬物等で抑え込む」治療が大半を占めています。熱や痛みを薬物で封じ込め、その間に休養を取り体力の回復を図る方法は有効です。しかしながら、多くの国民は、仕事や日常生活を継続するために薬物を利用しています。身体に休息を与えることなく服用すれば、若くて体力がある人を除けば、間違いなく疾患を抱えるようになります。動くことができなくなり、入院することで休養を余儀なくされます。それを繰り返すうち、取り返しのつかない大病をする人が後を絶ちません。

 東洋医術を、薬物や外用薬と同じように鎮痛目的だけで利用する人がいます。薬物を使用していない人は、体が変化しやすいので、数回の治療で健康な状態に回復可能です。しかしながら、基礎疾患を持ち常日頃薬物や外用薬を服用している人は、なかなか変化しません。薬物や外用薬の使用をやめ、鍼灸治療で身体の機能回復を目指す人と薬物を併用したまま鍼灸治療を行う人と効果の差は歴然です。1~2カ月で機能回復するか1年を経過しても全く変化がないというくらい違いがあります。

 東洋医学は1500年以上わが国の主たる国家医療でした。それに比べ西洋医学は150年ほどの歴史ですが、現在、教育や医療制度の中心であることから、医師が行う医療を国民が重視することは当然です。私は、鍼灸治療は薬物に変わる医療であると認識していますが、国民の認識は、私の考えとは程遠いところにあります。患者様と治療計画を立てる際、西洋医学や医師に対する信頼度の高さ、東洋医学や鍼灸師・柔道整復師に対する信頼度の低さが、医療を選択する障壁になっています。

 40年来、この現実は変わっていません。そのことから、薬物を利用してもなおかつ即効性かつ再現性がある技術開発を目指してきました。まだまだ太刀打ちできない病体はありますが、以前に比べ格段に多くの患者様に対し即効性がありかつ持続性がある医療を提供できるようになってきました。是非、一人でも多くの方に、東洋医療を実感していただきたいと思っています。

 東洋医学と西洋医学の間にある「高い壁」を取り除いた先には「融合」があります。「東洋医学と西洋医学の融合」を目指して、今日も努力を続けています。

 令和元年9月6日投稿記事「清野充典の「東洋医学ひとりごと
治療技術を習得するためにしてきたこと 1 所感
治療技術を習得するためにしてきたこと 2 身体の基盤作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 3 技術の基礎固め
治療技術を習得するためにしてきたこと 4 学力の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 5 心身の修養
治療技術を習得するためにしてきたこと 6 漢文読解の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 7 古典医書読解の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 8 中国医書解読の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 9 鍼灸治療体系化の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 10 語学の基礎作り
治療技術を習得するためにしてきたこと 11  言語化の壁
[治療院技術を習得するためにしてきたこと12 患者説明の壁

 13回すべてお読みいただいた方に感謝申し上げます。「鍼灸治療を伝えることの難しさ ー灸(きゅう)治療の専門性ー」もお読みいただけましたら、うれしく思います。

2019年10月25日(金) 
 清野鍼灸整骨院
  院長 清野充典
 


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治療技術を習得するためにしてきたこと 7    古典医書読解の基礎作り
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Posted by 清野充典  at 00:38 │Comments(0)治療技術を習得するためにしてきたこと

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