2012年03月13日
大東文化大学大学院生活を振り返って23 休学
6年前の2006年4月、大東文化大学大学院文学研究科博士課程前期課程に入学しました。専攻は中国学です。
修士課程の4年目は、休学をして聴講生として指導教官の授業に出席していました。
身分は聴講生ですが、授業内容が変わるわけでも指導内容が変わるわけでもありません。
何時実力がつくかも解らない、当てもない「漢文の海」に漂流する1年でした。
中国哲学は、文字の解釈を大切にします。漢字1字の意味を理解するために、その文字をなんと読むのかを掘り下げて検討します。
字の読み方が異なると意味が変わるからです。
例えば「悪」の字は、「アク」と読むと「わるい」という意味であり、「オ」と読むと「にくむ」という意味になる、と言った具合です。
このように、読む「音」を調べて解釈する学問を、「音韻学(おんいんがく)」と言います。
大東文化大学大学院では、「音韻学」の授業があります。修士2年生の時、1年間基礎を学びました。
「字」の辞書を「字書」と言いますが、最初に書かれた「字書」は、許慎という人が書いた『説文解字』という本です。
指導教官である林教授は、京都大学大学院生時代に『説文解字』の翻訳本に携わっていることから、音韻学の専門化でもあります。
授業は、1文字1文字を確実に理解する作業の繰り返しでした。音を理解するためには、分類によって異なりますが、概ね漢代前の上古音、唐代の中古音、明・清代の近代音、中華民国・中華人民共和国の現代音に分かれます。
授業で用いていた『周禮注疏』という本は唐の時代頃に書かれた本ですので、基本的に中古音で調べます。その音を調べる本も『集韻(しゅういん)』、『廣韻(こういん)』を基本書として、それで解らないときは、『玉篇(ぎょくへん)』、『韻鏡(いんきょう)』を調べ、必要に応じて『爾雅(じが)』、『廣雅(こうが)』、『釋名(しゃくめい)』、『方言(ほうげん)』、『説文解字(せつもんかいじ)』等の本を調べます。
上古音、近代音や現代音でも調べるときは、何倍も時間がかかります。1文字の答えを出すために1か月半も調べていたことがたびたびありました。
それもこれも、実力がないためであり、慣れれば数分で済む作業です。
1年間必死に食らいつき、修士4年目が終了する最後の授業が終わったあと、林教授はこう言いました。
「まだ、実力が学部の4年生レベルだからもう1年休学しなさい。」
何となくそう言われるかなあと思っていたので、1年前ほどショックではありませんでしたが、その際、「まだ漢文が読めていないことに気付かないのか。自分が読めないことに気付かないようなら、全然読めていないんだ。」と言われました。
4年間努力をして、少しは読めてきていたような気がしていたので、この言葉は、心に追い打ちを掛けました。
再び修了まで最低2年以上必要な現実を振り返り、呆然自失で帰宅しました。
大学院から帰宅途中、1年前白バイに捕まった場所に近づいたときは、スピードメーターを見ながら、安全運転に努めました。約30分ほど運転したところで道路が渋滞していたので、普段走ったことがない道へと迂回しました。
細い道をゆっくり走りながら、信号を右折したとき、目の前で待ちかまえていた警官が私に手を振りました。
何かと思って車を止め、窓を開けたら、「そこの信号は右折禁止なんですよ。標識に気がつきませんでしたか。」と言われました。間違って右折する車が多いところのようでした。渋滞を避け、いらいらしないようにゆっくり走っていたつもりでしたが、集中力を欠いていたようでした。
2年連続授業の終了日に交通違反で捕まり、再び忘れられない日となりました。(つづく)
平成24年3月13日(火)
清野充典 記
(平成23年1月1日より毎日更新中)
※3日に一度「清野鍼灸整骨院府中センターです」を更新しています
※最新最先端の鍼灸治療・東洋医療について、詳細に書いています
※東洋医学の適応範囲をお知りになりたい方は、是非ご一読いただきたく存じます
修士課程の4年目は、休学をして聴講生として指導教官の授業に出席していました。
身分は聴講生ですが、授業内容が変わるわけでも指導内容が変わるわけでもありません。
何時実力がつくかも解らない、当てもない「漢文の海」に漂流する1年でした。
中国哲学は、文字の解釈を大切にします。漢字1字の意味を理解するために、その文字をなんと読むのかを掘り下げて検討します。
字の読み方が異なると意味が変わるからです。
例えば「悪」の字は、「アク」と読むと「わるい」という意味であり、「オ」と読むと「にくむ」という意味になる、と言った具合です。
このように、読む「音」を調べて解釈する学問を、「音韻学(おんいんがく)」と言います。
大東文化大学大学院では、「音韻学」の授業があります。修士2年生の時、1年間基礎を学びました。
「字」の辞書を「字書」と言いますが、最初に書かれた「字書」は、許慎という人が書いた『説文解字』という本です。
指導教官である林教授は、京都大学大学院生時代に『説文解字』の翻訳本に携わっていることから、音韻学の専門化でもあります。
授業は、1文字1文字を確実に理解する作業の繰り返しでした。音を理解するためには、分類によって異なりますが、概ね漢代前の上古音、唐代の中古音、明・清代の近代音、中華民国・中華人民共和国の現代音に分かれます。
授業で用いていた『周禮注疏』という本は唐の時代頃に書かれた本ですので、基本的に中古音で調べます。その音を調べる本も『集韻(しゅういん)』、『廣韻(こういん)』を基本書として、それで解らないときは、『玉篇(ぎょくへん)』、『韻鏡(いんきょう)』を調べ、必要に応じて『爾雅(じが)』、『廣雅(こうが)』、『釋名(しゃくめい)』、『方言(ほうげん)』、『説文解字(せつもんかいじ)』等の本を調べます。
上古音、近代音や現代音でも調べるときは、何倍も時間がかかります。1文字の答えを出すために1か月半も調べていたことがたびたびありました。
それもこれも、実力がないためであり、慣れれば数分で済む作業です。
1年間必死に食らいつき、修士4年目が終了する最後の授業が終わったあと、林教授はこう言いました。
「まだ、実力が学部の4年生レベルだからもう1年休学しなさい。」
何となくそう言われるかなあと思っていたので、1年前ほどショックではありませんでしたが、その際、「まだ漢文が読めていないことに気付かないのか。自分が読めないことに気付かないようなら、全然読めていないんだ。」と言われました。
4年間努力をして、少しは読めてきていたような気がしていたので、この言葉は、心に追い打ちを掛けました。
再び修了まで最低2年以上必要な現実を振り返り、呆然自失で帰宅しました。
大学院から帰宅途中、1年前白バイに捕まった場所に近づいたときは、スピードメーターを見ながら、安全運転に努めました。約30分ほど運転したところで道路が渋滞していたので、普段走ったことがない道へと迂回しました。
細い道をゆっくり走りながら、信号を右折したとき、目の前で待ちかまえていた警官が私に手を振りました。
何かと思って車を止め、窓を開けたら、「そこの信号は右折禁止なんですよ。標識に気がつきませんでしたか。」と言われました。間違って右折する車が多いところのようでした。渋滞を避け、いらいらしないようにゆっくり走っていたつもりでしたが、集中力を欠いていたようでした。
2年連続授業の終了日に交通違反で捕まり、再び忘れられない日となりました。(つづく)
平成24年3月13日(火)
清野充典 記
(平成23年1月1日より毎日更新中)
※3日に一度「清野鍼灸整骨院府中センターです」を更新しています
※最新最先端の鍼灸治療・東洋医療について、詳細に書いています
※東洋医学の適応範囲をお知りになりたい方は、是非ご一読いただきたく存じます
大東文化大学2位に躍進 2023全日本大学女子駅伝競走大会
第41回全日本大学女子駅伝競走開催中
祝大東文化大学富士山女子駅伝準優勝
「気」の論文が掲載されました
中国哲学論文と格闘中
祝大東文化大学2014箱根駅伝5年ぶりシード権獲得
第41回全日本大学女子駅伝競走開催中
祝大東文化大学富士山女子駅伝準優勝
「気」の論文が掲載されました
中国哲学論文と格闘中
祝大東文化大学2014箱根駅伝5年ぶりシード権獲得