たまりば

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2012年10月14日

日本の鍼灸治療技術

 世界で行われている鍼灸治療は、日本で生まれた「日本針」を用いて行う技術と中国で使われている「中国針」を用いた技術に大別される。

 今では、どちらの方法も世界中で行われているが、「日本針」を用いた治療技術の教育は、基本的に日本以外では行われていない。

 その理由は、何処の国でも、「鍼灸治療は中国が発祥の国だから」という理由で、現在中国で行われている教育を導入しているからである。

 この背景は、中国の国際戦略にあるが、同時に日本の教育を国際発信してこなかった日本側にもある。

 日本で行われている鍼灸技術は、繊細である。様々な治療技術を有していることから、多くの病気に有効な治療法でもある。

 中国で行われている鍼灸技術と比較すると、治療効果の差は歴然である。

 しかし、そのことを、日本の鍼灸師は良く理解しているが、世界の医者は知らないのである。

 その原因は、治療技術を教育するすべがないからである。鍼灸治療は、世界において、治療法を体系化した教書がない。

 そのため、日本の鍼灸師個々人が伝承してきた治療技術は、医家制度や徒弟制度にのみ存在する方法なのである。

 海外の医者がそのことを知るすべはない。近年、日本の鍼灸治療技術を伝承している私的団体が、欧米等で研究会を開催すると、多くの医者が集まることを見ても、治る方法を知りたがっていることの表れである。日本の鍼灸治療は、治療効果が高いことが知られてきているのは、喜ばしい事実であると思っている。

 中国の鍼灸技術教育は、理論的である。理路整然としている。そこが、海外で受け入れられている点である。

 しかし、残念ながらその理論は机上の空論に過ぎない。つまり、その理論に基づいて治療をしても、再現性がないのである。

 治療効果も得難いことから、各国で、中国での教育は資格取得の手段以外に活用されなくなっている。

 一通りの教育や資格を得た後は、治療効果のある治療法を個々人で模索し、努力とセンスが実を結んだ者のみが治療を行っているのが、各国の実態である。

 その結果、2000年代に入り、アメリカンズアキュパンクチュア(アメリカ式鍼灸治療)とか、ヨーロピアンスタイルができはじめている。

 鍼灸治療が発展することは喜ばしいことだが、個々人が数年で経験したことには限りがある。

 日本で、1600年以上伝承されてきた鍼灸技術が活用されないことは、人類の損失だと考える。

 日本の鍼灸治療を伝承するための治療学を体系化することが、自分に科せられたことだと勝手に思いこんでいる。 誰もが効果を出すことが出来る鍼灸治療の基本的な考え方は、ほぼ出来上がりつつある。

 あとは、文字にする作業である。こつこつ書いているが、大変である。

 長々とひとりごと。

平成24年10月14日(日)
 清野充典 記
(平成23年1月1日より毎日更新中)

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Posted by 清野充典  at 11:27Comments(0)鍼灸医療