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2012年03月07日

大東文化大学大学院生活を振り返って18 『三国志』

 6年前の2006年4月、大東文化大学大学院文学研究科中国学専攻博士課程前期課程に入学しました。専攻は中国学です。
 
 中国学は、専門が、哲学思想、文学、歴史、語学、芸術、日本の漢学に大別されます。

 中国学を専門に研究している大学は、大東文化大学と二松学舎大学です。二松学舎大学は、日本の漢学が専門です。

 大東文化大学は、中国学すべての分野において研究を行っています。学部も、中国学科、中国語学科、書道学科があります。中国学の教授が何人もいます。1つの文字を調べる際に、書道学科の先生を交えて字を解読している場面に立ち会ったときは感動モノでした。あらゆる知識を駆使しないと漢文は読めないということを肌で感じました。

 私は、中国哲学を専門にしましたので、中国思想・哲学を中心に授業を受けました。これまで紹介してきたとおりです。

 でも、哲学書を読むために、歴史的事実を欠くことはできません。正しい歴史認識がないと書物の成立に関する情報を正しく吟味することができません。

 そこで、大学院2年生になり、歴史に関する授業を選択しました。

 大東文化大学には、世界に誇る歴史研究者である渡邉義浩教授がおります。渡邉教授は、筑波大学出身です。筑波大学は文部省の前身とも言える東京教育大学の男子部です。東京教育大学は、男子部と女子部に分かれましたが、女子部はお茶の水大学です。中国学は、戦後筑波大学と大東文化大学に引き継がれたと言っても過言ではなく、13冊に及ぶ大漢和辞典は、筑波大学と大東文化大学の関係者による合作でできたものです。

 その筑波大学出身の渡邉先生は、わずか38歳で大東文化大学の教授に就任しました。60歳近くにならないと文学博士の学位が取得できないという世界の中で、わずか30歳足らずで取得した天才とも言える人です。
 
 渡邉先生は、『三国志』が専門です。日本で最も読まれている中国の本です。『レッドクリフ』Ⅰ・Ⅱの映画を見た方も多いと思います。その字幕を監修をした人が、渡邉教授です。

 渡邉先生は、私より2歳年下ということもあり、先生はいつも私を立ててくれましたが、能力で圧倒的に差のある先生の授業は、私にとってとても興味深く、いつも恐縮して授業を受けさせて頂きました。

 渡邉先生は、論文を書くことで、知っていることと知らないことが明確になるといつも言われていました。その方針から、授業では、盛んに大学院生が書いた論文の発表を推進しました。私も発表させていただきましたが、先生の明快な指摘や方向性の提案により、ずいぶん助けていただきました。

 また、先生がお話になる歴史観は、従来の説を覆すことが多く、最新研究の概要を忌憚なく教えてくださることから、歴史の面白さを十分に堪能することができました。

 私が書いた『中国古代の氣』の中では、まず古代という時代はいつかということを論じました。これこそ、歴史学です。

 渡邉教授の授業は、哲学・思想の知識を広げてくれたすばらしい授業でした。

 渡邉義浩先生は、これからの中国学分野をけん引する逸材です。今後の活躍に期待しています。(つづく)

平成24年3月7日(水) 
 清野充典 記

(平成23年1月1日より毎日更新中)

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Posted by 清野充典  at 19:30Comments(0)大東文化大学大学院