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2012年02月20日

大東文化大学大学院生活を振り返って11 『周禮(しゅらい)』

 6年前の2006年4月、大東文化大学大学院文学研究科博士課程前期課程に入学しました。専攻は中国学です。
 
 私の担当教官は、京都大学出身で、中国医学が専門です。中国哲学を背景とした鍼灸医学を探求することが目的で入学しました。

 中国最古の医制度が記載されている『周禮(しゅらい)』を、6年間読みました。

 『周禮(しゅらい)』を読むためには、四書五経(ししょごきょう)がわからなければ、読み進めることはできません。

 四書五経は、漢学の基本書です。大東文化大学では、中国学科の学部生が4年間で学ぶ内容です。

 四書五経とは、五経である『易経』・『書経』・『詩経』・『禮記』・『春秋』と四書である『論語』・『孟子』・『大学』・『中庸』を指します。日本・中国・韓国の年号は、これらの書物の中から取り出した二字の熟語です。三国の学者が、いずれの国にも重ならないように考え、決定しています。年号を考えるのが中国学を研究している中国哲学が専門の学者です。

 『周禮(しゅらい)』は、『禮(れい)』の一つです。中国古代の儀礼を記載した書物である『禮』には、『禮記(らいき)』・『儀禮(ぎらい)』・『周禮(しゅらい)』の三冊があります。後世、『禮記(らいき)』が五経として重要視されるようになりましたが、『禮記(らいき)』を理解するには、『周禮(しゅらい)』を読む必要があります。

 四書五経は、中国学を学ぶ者にとって、基本の書物です。したがって、中国医学を研究する者にとっても、学ぶべき書物と言えます。

 『周禮(しゅらい)』を読むということは、以上に挙げたすべての書物に目を通すことになります。五経の中で、『易経』は入学以前から研究しており、『易』を深く知りたかったことが入学の動機でしたので、引用文が出てきてもさほど苦労しませんでしたが、『書経』・『詩経』は内容が紀元前1000年くらいの時代なため、読みづらい文章がとても多くて苦労しました。『禮記(らいき)』は注釈書が多いため、なんとか調べることができましたが、『儀禮(ぎらい)』は注釈書が全くなく、苦労しました。『春秋』は、他の先生の授業や学部生の授業に出て知識の補充をしました。

 予習しても予習しても、よく判らず、授業に出ても調べて出した答えがすべて直されるような状態が、5年ほど続きました。

 大学院に入学して6年目になり、ようやく少しわかるようになった気がしますが、難しいことに変わりはありません。

 苦しい苦しい6年間でした。担当教官には、できの悪い生徒だったため、ずいぶんご迷惑をおかけしたと思いましたが、最後まで見はなされずにご指導をいただくことができました。

 授業中は、とても厳しく、入学以来3年間は声をかけてもらうことがほとんどありませんでした。大学院4年目になり、私の出した答えにはじめて笑いました。授業が終わり、他の院生が「はじめて笑いましたよね。」と話題になるほどでした。少しは認めてもらえたのでしょうか。出会ってから6年目のことでした。

 大学院に入学して5年目になり、ようやく授業中にほかの院生と同じように声をかけてもらうようになり、少し笑いながら話をさせていただくようになりました。

 そして、大学院5年目の最終の授業である2011年1月に、はじめて修士論文の指導をしていただきました。この指導がまたドンとびはねた内容でした。本当に知らないことが多いということを知らされました。林教授に出会ってから7年目のことです。

 1年間論文の指導を毎週受けるたびにその繰り返しでしたが、大学院6年目の秋である2011年10月頃には、初めて世間話をさせていただき、12月には笑って「まあ、悔いのないようにやるんだな。」と声をかけていただきました。出会ってから8回目の冬でした。

 林克教授にはとても感謝しております。(つづく)

平成24年2月20日(月) 
 清野充典 記

(平成23年1月1日より毎日更新中)

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Posted by 清野充典  at 11:19Comments(0)大東文化大学大学院