たまりば

日記/一般 日記/一般調布市 調布市


2012年09月14日

中国人の歴史認識について 4

平成24年9月14日 (金)の本日、中国政府が、尖閣諸島近郊の日本領域に、監視船を出してきた。

 11日(火)に、尖閣諸島を国有化した事による抗議行動の一貫である。

 歴史を捏造し、尖閣諸島が中国の領土であると教育している中国政府にとって、国民向けのパフォーマンスをする必要があるのだろうと言われている。

 また、中国は、現実問題として尖閣諸島周辺の資源が欲しいため、この行動は、100年経っても終わらない問題であると考えられている。

 それだけに、日本政府や日本国民は、正しい歴史認識を持ち、日本の領土を守る気持ちを持ち続ける必要があるだろう。

 世界が一つとなり、国という概念がなくなればこの問題は解決すると思うのだが、生きている間にその様な世の中になるかは甚だ難しいところである。 

 「中国政府の歴史を捏造した教育が、中国人民に行われていることにより、中国の国民は、何が正しくて何が間違っているのかわからなくなっているのではないかを危惧する」と言う話を、平成24年9月11日(火)・12日(水)・13日(木)にしたが、中国医学の世界でも同じ事が言えることを、昨日書いた。今日はその続きである。この話に興味がある方は、1~3の話をお読みいただきたい。

 中国は、1822年より1954年まで、132年間中国医学を国家の医学・医療としていない。その理由は、清の黄帝の息子に、侍従医が医療過誤を起こしたことにより、黄帝が激怒して、鍼灸治療・湯液治療(日本では漢方薬治療という)を廃止したためである。

 その中国は、清朝が終わったあと、1911年に建国した中華民国も、1949年に出来た中華人民共和国も、中国医学を医学・医療として認めていなかった。

 1954年に中国医学を国家医療として復活させた大きな理由は、中華人民共和国という国家を世界へアピールするためである。国連が中華民国を国家として認め、中華人民共和国が国連に参加できなかったために生まれた国家政策の一つである。

 そのため、中国医学は、中国国内で復権したとは言い難いと思われる。そして、2012年の今でも、その評価は概ね変わっていない。

 中国国内における中国伝統医学に対する評価は、今も低い。中国国内で最高論文と評価された研究に対する研究費は、日本の鍼灸学部大学内に出される1教室の研究費程度である。中国国内では、近代史に対して比重が置かれていることから古代史に対する興味も低い。中国の研究者達は優秀であり、その苦労を知っているだけに、国の強い支援が受けられないことはつらいことであると考える。

 にもかかわらず、鍼灸治療は中国が発祥の国であり、中国が主導権を確保すべきであるという姿勢・態度を繰り返している。

 1954年頃、中国国内は西洋医学教育しか行われていなかった。そのため、急激に中国医学の教育体制を整えなくてはならなくなった。

 教育が始まったのは、1955年である。そんな短い期間に、鍼灸治療・湯液(とうえき)治療を、教える人や教材を確保することは大変であったろうと推測する。

 1953年に、毛沢東が国内医学の宣言をしたことにより、理論体系の構築が始まっている。

 中国では中国医学の教育を整えるために、世界で唯一鍼灸治療・湯液(とうえき)治療を行っている国の本をベースに、中医学院の使用教材を1958年に作成した。

 その国は、言うまでもない、世界で唯一鍼灸医学・医療を国家医療としていた日本の教科書や鍼灸治療技術書である。

 中国は、日本国内の本を中国語に翻訳し、1955年以降、学校(中医学院)の教材として使用していたのである。
 
 このことについては、第55回全日本鍼灸学会学術大会特別講演③において、茨城大学大学院教授真柳誠医学博士が講演している。学会に参加した鍼灸師であれば、記憶に新しいことと思う。詳しくは、
  
  「現代中医鍼灸学の形成に与えた日本の貢献」真柳誠
  『全日本鍼灸学会雑誌』56巻33号336-337頁、2006年5月10日 

をご覧頂きたい。その作業を進める際、中国人は、日本の本にある理論の用語を書き換えたのである。

 そこで、話を、前回書いた 「第60回日本東洋医学会」での、ある中国人医師が質問したときに戻る。

 「日本では、気・血・水(すい)というようだが、中国では、気・血・津(しん)という。なぜ、日本では水(すい)と言うようになったのか」という質問である。

 「気」と「血」は、中国に古代からある用語である。しかし、「水(すい)」は、江戸時代に日本に生まれた概念で、日本固有の考え方である。そこで、中国の教科書を策定していた者達は、「これは中国のもの、これは日本のものとして分別し、日本独自に発展した治療技術や用語は、盡く違う言葉に置き換えている。前出の中国人医師は、日本で「水」と言っている用語を中国人が「津」と書き改めたことを知らないために出た質問である。

 このことは、氷山の一角であり、この状態が、蔓延していると考えておかしくない。
 
 一つ一つ改定していく作業は、気の遠くなる作業だと思われるが、実はこの作業は中国人のお得意分野である。

 中国人は優秀である。

 中医学院で使用されている教科書は、1950年代から80年までに4回版が改められ、現在に近いものを作り上げている。

 しかし、そのことにより、中国人は自国の伝統医学は、何処までが中国で生まれたもので、どの部分が海外で研究され発見されたものかの判別が、一部の研究者を除き出来ていないように思われる。

 しかし、そんなことは中国人にとってはどうでも良いようである。鍼灸治療・湯液治療(日本で言う漢方薬治療のこと)は、中国で生まれたのである。だから、何処の国で何が生まれようが、それは中国の発展と考える国民性がある。

 日本人は、そのことを理解して、お付き合いする必要がある。

 困ったことに、日本の鍼灸師が、中国の本を購入し、日本固有の技術を中国のものとして誤解している先生が出始めていることである。

 鍼灸治療は中国が発祥であるという発想が、歴史認識が薄い日本人の考え方を容易に変化させるのである。

 詳しいことを知りたい方は、下記をお読みいただきたい。

  『伝統医学の学び方』 
    長沢元夫著 伝統医学研究会特別班編集 
    積文堂 1998年(平成10年)8月25日 307頁
  『陰陽五行説 その発生と展開』 
    根本光人監修 根本幸夫・根井養智著 
    薬業時報社 1991年(平成3年)7月10日 296頁

 鍼灸治療は、日本が一番。
 鍼灸医学研究は、日本が最先端。
 世界最先端の鍼灸医学研究機関は、明治国際医療大学。

 世界を俯瞰し、正しい認識を、日本国民にお持ちいただきたい。

 大きな「ひとりごと」である。(つづく)

平成24年9月14日(金)
 清野充典 記
(平成23年1月1日より毎日更新中)

※3日に一度「清野鍼灸整骨院府中センターです」を更新しています
※最新最先端の鍼灸治療・東洋医療について、詳細に書いています
※東洋医学の適応範囲をお知りになりたい方は、是非ご一読いただきたく存じます

【東洋医学専門医療機関】

清野鍼灸整骨院」 
(昭和62年2月2日開設)
 受付時間:平日 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 7:00
      土曜 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 6:00 
 休   日:木曜・日曜・祝日 
 場   所:東京都調布市布田1-45-1CIELOビル3階
 電話番号:042-481-3770
 院   長:清野充典鍼灸学士

清野鍼灸整骨院 府中センター
(平成3年4月6日開設)
 受付時間:平日 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 7:00
      土曜 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 6:00 
 休   日:木曜・日曜・祝日 
 場   所:東京都府中市八幡町3-3-5 大久保ビル1階
 電話番号:042-335-3770
 院   長:村田朝子鍼灸学士

【統合医療センター 足部治療専門医療機関】

清野メディカルフットケアセンター」 
(平成21年4月1日開設)
 受付時間:平日 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 7:00
      土曜 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 6:00 
 休    日:木曜・日曜・祝日 
 場    所:東京都調布市布田1-45-1CIELOビル3階
 電話番号:042-481-3770
 センター長:猪熊遥香鍼灸学士

清野メディカルフットケアセンター府中
(平成22年4月1日開設)
 受付時間:平日 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 7:00
      土曜 午前9:00~12:00 
         午後3:00~ 6:00 
 休   日:木曜・日曜・祝日       
 場   所:東京都府中市八幡町3-3-5 大久保ビル1階
 電話番号:042-335-3770
 センター長:丸山典子鍼灸学士
  


Posted by 清野充典  at 10:34Comments(0)清野充典雑話